ドクターが心配する、日本人女性と近い将来の貧血問題

山本佳奈医師
『貧血大国・日本』の著者でもある内科医・山本佳奈先生

みなさまは、一般的に女性の方が貧血になりやすいとご存じですか?

近年日本で行われた調査によると、20~30代の男性の貧血率が0.0%であるのに対し、女性の貧血率は20代が9.1%、30代では18.6%であると明らかになりました。

今回は山本先生に、日本人女性とこれからの貧血問題について教えていただきました。

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先進国の中で最も高い!日本人女性の貧血率

世界の先進国の貧血率を見てみると、貧血に悩んでいるのは日本の女性だけではありません。

女性の貧血は他の国でも問題となっているのです。

 

【15~49歳の女性における貧血率】
(2006年→2019年)

・イタリア 11.6% → 13.6%
・フランス 8.6% → 13.6%
・中国   17.6% → 15.5%
・日本   21.1%→19.0%

 

中国では、2006年から2013年にかけて一度14.8%に減少しましたが、2019年には再び増加しています。

貧血率が増加傾向にある各先進国のなかで、日本は緩やかに減少しています。しかし、それら先進国と比べると、日本の貧血率は最も高い割合となっているのです。

スリム体型を求める社会の価値観が、貧血女性を増やしている!

「スリム体型=美しい」という風潮から、多くの日本人女性が無理な食事制限によるダイエットをしています。

低体重の女性は、1975年の440万人から2014年には570万人と増えており、第二次世界大戦後から長らく続く問題とされてきました。

体格を表す指標であるBMIにおいても、標準よりも低い女性が2017年には25.7%に達し、食糧難にある開発途上国と同じ水準となっているのです。

女性の貧血の主な原因には、月経による出血のほか、栄養素の摂取不足により体内でつくられる赤血球が少ないことがあげられます。

近年では、BMIが低いほど貧血になりやすいと報告されています。このように、スリム体型を重視する風潮は、貧血に悩む女性を増やす一因となっている可能性があるのです。

代替肉の台頭!?懸念される鉄分摂取量の減少

近年アメリカでは、貧血率の割合が増えています。

人は主に、ヘム鉄の多い牛肉や魚から造血成分を取り入れますが、牛肉に代わって造血成分の少ない鶏肉の消費量が増えたからではないかと指摘されています。

世界人口の増加や畜産に伴う環境負荷から、大豆などの植物性原料で作られた代替肉が注目されています。近頃はスーパーやコンビニでも見かけるようになりました。代替肉を使用したハンバーガーが販売されるなど、関心は高まりつつあるようです。

しかし、牛肉や魚よりも代替肉がメインになると、栄養素の摂取量が減ってしまう可能性が十分に考えられるのです。

(2022年2月インタビュー)

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暑い夏は特にあっさりとした軽めの食事を選びがちです。

みなさまも今後の貧血対策を意識して、日頃の食生活を見直してみてはいかがでしょうか。


山本佳奈医師プロフィール

監修

医師 山本 佳奈(やまもと かな)
1989年生まれ。滋賀県出身。医師。医学博士。2015年滋賀医科大学医学部医学科卒業。2022年東京大学大学院医学系研究科修了。ナビタスクリニック(立川)内科医、よしのぶクリニック(鹿児島)非常勤医師、特定非営利活動法人医療ガバナンス研究所研究員。著書に『貧血大国・日本』(光文社新書)

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