ドクターが懸念する、貧血が及ぼす「睡眠」への可能性

2022年6月13日

山本佳奈医師

秋といえば、食欲の秋、スポーツの秋、読書の秋、睡眠の秋などいろいろありますね。
皆さまはどのような秋を思い浮かべるでしょうか?

近年の研究により、貧血が睡眠に影響を与える可能性が指摘されています。
今回は、睡眠という視点から貧血について山本先生に教えていただきました。

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イキイキした毎日にはミネラルが欠かせない!

貧血とは、からだの組織が酸素不足に陥っている状態で、私たちが普段「貧血」と呼んでいる疾患は、主に「鉄欠乏性貧血」を指し、ミネラルが不足している状態のことを言います。

 

そんなミネラルの最も重要な役割の一つは《酸素の運搬》です。
赤血球中にヘモグロビンとして存在するミネラルが、この役割を担っています。

二つ目の重要な役割は、血液を介して運ばれてきた《酸素を蓄えておく》ことです。
この役割を担う鉄は、筋肉中にミオグロビンとして存在しています。

貧血であったとしても、多くの人は無症状のことが多いですが、ときに頭痛・動悸・息切れ・易疲労(疲れやすさ)・倦怠感といった症状や、髪の毛が抜けやすくなる、肌荒れ、爪が割れやすい、といった美容面の症状を引き起こします。

睡眠の質の悪さはミネラル不足の影響の可能性も!?

ミネラルは他に、ドーパミンやセロトニンなどの神経伝達物質を作る補酵素の役割も果たしており、不足すると不安になったりネガティブな気持ちになったりしてしまうなど、心にも影響を与えていることが示唆されています。

そのためミネラルが不足することによってドーパミンやセロトニンなどの代謝に影響があり、結果として「睡眠」に影響を及ぼす可能性があることが指摘されています。

米ペンシルベニア州立大学の研究者の方たちが12,614人の中国人を対象とした研究を実施して、貧血である方は、貧血でない方と比較して、不眠症の方が多かったという研究結果が出たと報告されています。

その他にも、トルコや台湾など、世界のさまざまなところで貧血と睡眠の研究が行われており、各地でミネラル不足が睡眠の質に影響を与えているという研究結果が出ていると報告がありました。

鉄欠乏や鉄欠乏性貧血と睡眠に関して、今後のさらなる研究を期待したいと思います。

ミネラルと睡眠の関係についてはまだ研究段階ではありますが、 今年の秋はぜひ意識して、心地よい睡眠をとって楽しく過ごしてはいかがでしょうか。

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山本先生、ありがとうございました!
ミネラルと睡眠が関係あるかもしれないと初めて知りました。
しっかりと睡眠をとってイキイキとした毎日を過ごすためにも、ミネラルを意識してみたいと思います。

【参考文献】

Semiz Murat,Uslu Ali,Korkmaz Serdal,Demir Süleyman,Parlak İlknur,Sencan Mehmet,Aydın Bahattin,Uncu Tunahan(2015)/Assessment of subjective sleep quality in iron deficiency anaemia/Afr Health Sci./15/621–627

Samantha N Neumann,Jun-Juan Li,Xiao-Dong Yuan,Shuo-Hua Chen,Chao-Ran Ma,Laura E Murray-Kolb,Yun Shen,Shou-Ling Wu, Xiang Gao (2020) /Anemia and insomnia: a cross-sectional study and meta-analysis/Chin Med J(Engl)./134/675-681.


山本佳奈医師プロフィール

監修

医師 山本 佳奈(やまもと かな)
1989年生まれ。滋賀県出身。医師。医学博士。2015年滋賀医科大学医学部医学科卒業。2022年東京大学大学院医学系研究科修了。ナビタスクリニック(立川)内科医、よしのぶクリニック(鹿児島)非常勤医師、特定非営利活動法人医療ガバナンス研究所研究員。著書に『貧血大国・日本』(光文社新書)

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